グルーミングとは?信頼を利用する手口と、子どもを支える対応・相談先
COLUMN
(Release)2026年11月5日
性的グルーミングとは、性的な加害などを目的として相手との信頼関係を築いたり、すでにある信頼や立場を利用したりして、拒否や相談を難しくしていく行為や過程です。本記事では、子ども・若者に対する性的グルーミングを扱います。
始まりが悩み相談や励ましであることもあり、被害を受けた本人も周囲も、加害につながる関わりだと気づきにくい場合があります。相手を信頼していたこと、好意を持っていたこと、断れなかったことは、被害を受けた人の責任ではありません。
性的グルーミングの仕組みを知ることは、大人や社会が安全を守るために必要です。それは決して子どもに見抜く力を求めるためではありません。この記事では、関係が利用される場面と、相談を受けたときの対応、法律、利用できる支援を紹介します。
いま困っている方へ: 被害かどうか判断できなくても、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「#8891」、警察の性犯罪被害相談電話「#8103」、Cure time に相談できます。窓口の案内は内閣府の相談先一覧で確認できます。詳しくは本記事の「相談できる窓口」もご覧ください。

グルーミングとは
性的グルーミングの意味
性的グルーミングで問題となるのは、信頼や親しさを性的な加害のために利用することです。子どもに親切にすることや、相談に乗ること自体は自然な行いであり、グルーミングを指すわけではありません。 しかし、例えば、支えてくれる人と思っていた大人が子どもに対し性的な要求を行った場合、対象となった子どもは信頼できる相手を失う不安や恩を返さなければという気持ちから、その要求を断りにくくなることがあります。性的な行為の前だけでなく、起きたことを誰にも話させないという関係を、大人が利用する点にも目を向ける必要があります。
「性的グルーミング」「チャイルドグルーミング」との関係
「性的グルーミング」は性的な虐待や搾取につながる働きかけを、「チャイルドグルーミング」は子どもを対象とする働きかけを表す言葉です。子どもへの性的加害を扱う文脈では、重なる意味で使われます。ただし、グルーミングという言葉は犯罪への取り込みなどにも使われ、必ずしも性的な目的だけを指すものではありません。本記事では、性暴力の予防と支援に焦点を絞っています。
動物のグルーミングとの違い
グルーミングとは、本来は、動物やペットについて使う言葉で、毛づくろいや体の手入れを意味します。本記事で扱うのは性的グルーミングであり、信頼を性的な加害に利用する行為です。本来のグルーミングとは異なって使用します。日本語では「手なずけ」と訳されることもありますが、子どもを受け身の存在として描くため、本記事では使いません。
グルーミングの手口:関係を利用する5つの働きかけ
加害の仕組み、加害者の維持戦略を理解するため、ここでは関係への働きかけを5つに整理します。必ずこの順番で進むわけではなく、複数が重なることや、短期間で進むこともあります。どれかが見られないから安全だと判断するための表ではありません。

接点をつくる・利用する
共通の話題から親しくなる場合もあれば、指導や支援など、すでにある関係が利用される場合もあります。加害をする人は、子どもに近づくことができる組織内の制度を利用することもあります。加害者が子どもの悩みや孤立を利用することはあっても、子どもたちが悩みを抱えていることは人とのつながりを求めることが、被害の原因というわけではありません。特定の性格や家庭環境の子どもにだけ起こるものだと考えず、大人たちはさまざまな子どもに目を配ることが必要です。
信頼や依存を強める
特別に気にかけてもらえることは、本人にとってうれしい経験でもあります。しかし、その関係の中で「これだけしてもらったのだから断れない」という状態がつくられることがあります。贈り物や称賛だけで加害を判断することはできません。その関係性が、支援の見返りを求められていないか、子どもたちは別の人との関係も保てるか、子どもが意思を伝えても、その人との間で子どもの扱いが悪くなっていないかなどを、周囲の人々が気にかけることが大切です。
相談を妨げる
関係を周囲に話さないよう求めたり、相談すれば本人や家族が困ると思わせたりすることで、助けにつながる道が狭められる場合があります。信頼できるはずの関係の中で起きているため、自分の違和感より相手の説明を優先してしまうこともあります。
境界線を越える
境界線とは、自分の体、気持ち、プライバシーについて、自分が安全だと思う領域を守る線引き です。親しくなったとしても、相手の境界線を同意なく踏み越えてよいわけではありません。また、子どもは、境界線が発達途上であるため、子どもの意思や気持ちを大切にする一方で、大人の側が子どもの安全を守ることが必要です。子どもの拒否やためらいが尊重されているか、大人の側の都合で子どもの境界線を超えていないかなどを気にかけることが大切です。
また 、会うことに同意したからと言って、性的な行為や性的な撮影に同意することは別です。何かに同意したとしても、他の何かに同意する義務はありません。大人には、子どもの沈黙やためらいを都合よく解釈せず、立場の違いによる断りにくさを考える責任があります。
上記は特定の段階モデルの引用ではなく、関係を利用する行為を理解するための整理です。グルーミングの進み方や、信頼・秘密・支配の利用についてはNSPCCの解説を参照しています。
グルーミングが起こる場所
SNS・オンラインゲーム
オンラインでは、加害者は、共通の趣味などをきっかけに接点を作り、個別のやりとりの中で性的な画像や面会を求めることがあります。加害する人が年齢や立場を偽っている場合もありますが、偽っていない場合もあります。実際に会わなくても、性的な画像の要求や、それを使った脅しによって被害は起こり得ます。チャイルド・ファンド・ジャパンの解説、Take It Downの被害時の案内
警察庁によると、2025年の「SNSに起因する事犯」の被害児童数は1566人でした。ただし、これは性的グルーミングの被害件数を示す数字ではありません。SNSを通じて面識のない相手と知り合い、交際や知人関係等に発展する前に被害にあった、一定の犯罪を集計したものです。身近な人からの被害や、把握されていない被害を含めた全体像とは区別して読む必要があります。警察庁「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」
学校・習い事・部活動
子どもを指導し、評価する立場には力の差が存在し、子どもから意見を言いにくい状況が生じます。そのため、子どもが従っているように見えることだけで、納得しているとは判断できません。また、指導や評価をする立場の人は、もともとの信頼を利用しやすい立場でもあります。必要なのは、個人の人柄や実績に安全を任せきりにしないことです。個別指導、私的な連絡、送迎などについて共通のルールを設け、子どもが指導者以外にも相談できる仕組みを整えることが求められます。日常の教育や支援を安心して行うためにも、組織として関わり方を明確にする必要があります。
家庭・親族・地域
日常的に接する親族や地域の人など、顔を知っている相手との関係でも起こり得ます。NSPCCの解説「知っている人だから」「家族が信頼しているから」という理由だけで、子どもの訴えや違和感を軽視しないことが大切です。相談先を家族だけに限らず、学校や地域、外部の支援機関にも広げておけば、家族には話しにくいことについても助けにつながる道を用意できます。
グルーミングの被害に気づきにくい理由
本人が「被害」だと思えない
相手への信頼や好意と、嫌だった気持ちは、同時に存在することがあります。「助けてもらった人だから」「好きだったのだから」と、起きたことを被害と捉えにくい場合もあります。チャイルド・ファンド・ジャパンの解説
支援の出発点は、本人に 「被害者」という言葉を受け入れてもらうことではありません。性的グルーミングにあっていた子どもたちは、自分の身に起きたことを整理することに時間がかかります。それを「被害」だと認識することが子どもにとって難しかったとしても、つらかったことや困っていることを聞き、安全を確かめることはできます。子どもたちの揺れる気持ちに寄り添っていく、一緒に考えていくことも大切です。
相手への周囲の評価が、訴えを見えにくくする
大人が相手をよく知っている場合、「あの人がそんなことをするはずがない」という考えが、子どもからの話を受け止める妨げになることがあります。相談を受けた人は、その場で相手の人柄を弁護することは避けましょう。子どもに詳細な説明を要求することもしません。まずは話してくれたことを受け止め、「誰が」「誰に」「何をした」ということが分かれば、それで十分です。最初に、安全と支援を優先します。子どもは、大人の話に誘導されやすい傾向があります。また、子どもが何度も同じ話をすることは負担です。そのため、子どもに出来事を詳細に尋ねず、速やかに警察等の専門機関に相談しましょう。
相談した後のことが心配になる
家族を悲しませるのではないか、活動を続けられなくなるのではないか、叱られるのではないか。こうした心配があれば、「何でも相談して」と言われるだけでは話せないこともあるでしょう。大人は、相談された後にどう支えるかまで伝える必要があります。例えば、困ったことを話したために責められることはないこと、活動を続けるための安全な方法も一緒に考えることなどです。「相談してよい」という言葉を、その後の対応によって確かなものにしていくことが重要です。
グルーミング罪(面会要求等罪)とは:2023年の刑法改正
2023年7月13日から、一定の面会要求や性的な映像の送信要求などを処罰する規定が施行されました。一般に「グルーミング罪」と呼ばれることもありますが、正式には「十六歳未満の者に対する面会要求等罪」と説明されています。グルーミングという概念全体が、一律にこの罪になるわけではありません。法テラスの解説、東京都の改正法解説
面会要求等罪
16歳未満の子どもに、わいせつの目的で、うそをついたり金銭を渡すと伝えたりして会うことを求めるなど、法定の要件を満たす行為が対象です。単に面会を求めたという事実だけで成立する罪ではありません。対象となる要求をした場合の罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、その要求の結果、わいせつの目的で実際に会った場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長であるという要件もあります。東京都の改正法解説
性的な映像の送信要求
同じ刑法182条には、16歳未満の子どもに、一定の性的な姿態をとってその映像を送信するよう求める行為を処罰する規定もあります。罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、13歳以上16歳未満の場合の年齢差の要件もあります。送信を要求する行為自体が対象となるため、実際に画像を送る前でも相談してよいことを、子ども・若者に伝える必要があります。東京都の改正法解説
この罪の対象と、支援の必要性は別
この罪の年齢要件に当てはまらないからといって、相手の行為が許されるわけではありません。また、どの年齢でも、支援を受けることができます。行為や状況によっては、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、児童買春・児童ポルノ禁止法や条例など、別の規定が問題になります。どの法令に当たるかは、具体的な事情に即した確認が必要です。また、犯罪に当たるかを本人や保護者だけで判断してから相談する必要はありません。そして子どもの安全を守る対応は、処罰の可否が決まるまで待つものではありません。
グルーミングから子どもを守るために大人ができること
日ごろの関わり方
困ったときに話せる相手を、一人に限定しないことが大切です。保護者、学校の先生、養護教諭、スクールカウンセラー、外部の相談窓口など、本人が選べる相談先を一緒に確かめておきましょう。子どもたちは、日常の会話から、大人たちの考えや姿勢をよく見ています。日頃から、相手が誰であっても自分の体や気持ちは尊重されること、嫌だったことは後から話してもよいことを伝えます。子どもにうまく断ることを求めるのではなく、断れないときにも支えがあると伝えることが必要です。13歳未満のこどもに対しては誰であっても、13歳以上16歳未満の子どもに対しては5歳以上年長の人が、「子どもがいいと言っていても」性的行為をしたら犯罪です。
16歳未満の子どもには特に、「あなたの身体を性的に触ったりしてくる大人がいたら、相談してほしい」と伝えましょう。自分の身体や気持ちは尊重される」「いやだったこと」など子どもの尊重や意思を大切にすることは大事ですが、13歳未満のこどもに対しては誰であっても、13歳以上16歳未満の子どもに対しては5歳以上年長の人が、「子どもがいいと言っていても」性的行為をしたら犯罪です。 相談先は、実際にたどり着ける形で示しましょう。名称だけでなく、連絡方法や話せる時間を一緒に確認すると、必要なときに利用しやすくなります。
学校や団体で、関わり方のルールをつくる
家庭での会話に加え、子どもと関わる組織には、加害や不適切な関係を生みにくくする仕組みが必要です。例えば、次のような取り決めが考えられます。
・個別の面談や指導について、目的、場所、時間を組織内で把握できるようにする。
・子どもとの連絡は原則として組織の連絡手段を使い、私的な連絡の扱いを明確にする。
・贈り物、送迎、身体接触、撮影について、職員共通のルールを設ける。
・指導者以外に相談できる窓口と、組織の外に相談できる経路を示す。
・相談した子どもが、評価や参加機会などで不利益を受けないようにする。
個別相談のプライバシーを守ることと、関わりを組織で把握することは両立できます。本人の秘密を広く共有するのではなく、誰がどのような支援をしているかを適切に管理することが重要です。
気づくためのサイン
普段との違いは、子どもが困っていないかを考えるきっかけになります。ただし、どの変化も、それだけで性的グルーミングを示すものではありません。

変化が表れないことや、大人が気づかないこともあります。表に当てはまらなくても、本人の話を軽んじないことが大切です。
気づいたときの対応
問い詰める、責める、本人と相談せず相手に連絡する、といった対応は避けましょう。動揺して詳しく知りたくなることはあっても、その場で全てを聞き出す必要はありません。まず、話してくれたことへの感謝と、本人の責任ではないことを伝えます。今いる場所は安全か、相手と接触する予定があるかなど、当面の安全に必要な点を確認し、本人が望む支えを聞きます。そのうえで、専門の相談窓口につなぎます。本人の意向を尊重しながら、緊急の危険がある場合や通告が必要な場合には、大人が安全確保のために動く必要があります。「絶対に誰にも話さない」と約束するのではなく、誰に何のために相談するかを、できる限り本人に説明しましょう。虐待が疑われる場合は、確証を得てからでなくても児童相談所に通告・相談できます。こども家庭庁の189案内
グルーミングかもしれないと思ったら(子ども・若者のみなさんへ)
ここからは、やりとりや相手との関係に迷っている方への案内です。相手が悪い人かどうかを確かめたり、起きたことに名前をつけたりできなくても、相談して大丈夫です。
「特別扱い」に戸惑ったとき
優しくしてもらったり、プレゼントを受け取ったりしても、相手の希望に応じる義務はありません。うれしいと感じたことがあっても、途中で気持ちが変わってかまいません。「断ったら嫌われそう」「お礼に応じないと悪い気がする」と感じるときは、別の人に話してみてください。相手に悪意があるかどうかは関係なく、戸惑っているその気持ちから相談して大丈夫です。相手との関係をどうしたいか決まっていなくても、困っていることから相談できます。
性的な画像を送るよう求められたとき
相手の要求にこたえる必要はありません。好きな相手であっても、以前に送ったことがあっても同じです。すでに送った場合も、あなたが責められることではありません。画像を持っているからといって、相手があなたに何かを強いたり、勝手に広めたりしてよいわけではありません。相手が画像を持っていることを不安に思うときには、不安だということを相談して大丈夫です。脅されているときは、追加の画像やお金を送って一人で解決しようとせず、相談窓口や信頼できる大人と安全な対応を考えてください。
秘密にしてと言われたとき
秘密にしてと言われても、困っていることは相談して大丈夫です。誰にも話したくない個人的なことがあるのは自然です。でも、相手との約束を守るために、あなたが苦しさを抱え込む必要はありません。家族に話しにくければ、先生や保健室、学校の外の相談窓口を選べます。最初に話した人が受け止めてくれなかった場合も、別の人に相談してよいのです。相談では、話せる範囲から伝えてください。チャイルド・ファンド・ジャパンの本人向け案内
「SNSを禁止する」だけでは防げない理由
子どもの安全を守るための利用ルールやサービス側の対策と、相談や情報へのアクセスを確保することは、併せて考える必要があります。家庭で利用を制限する場合にも、子どもが何に困り、何を必要としているかを聞くことが出発点になります。
子ども・若者から出ている声
2026年6月16日、プラン・インターナショナルは、国際人口問題議員懇談会(JPFP)生命の安全教育を考えるプロジェクトチーム、アジア人口・開発協会(APDA)と、SNSの禁止と安全をテーマにシンポジウムを開催しました。開催報告では、参加した高校生・大学生から、大人にもSNSの実態を理解してほしい、一方的に禁止せず一緒に考えてほしいという趣旨の意見が紹介されています。SNSを学習や情報収集に使う側面や、ルールづくりに当事者の声を反映する必要性も議論されました。
SNSは学びや相談の場でもある
SNSへの接点を減らすことだけを考えると、その子が 情報や支援を得る手立てを減らしてしまう可能性があります。安全対策を話し合う際には、利用時間や機能だけでなく、必要な情報に触れたり相談したりする手段を確保する視点も必要です。相談した結果、すべてのつながりを失うと思えば、困っていても話しにくくなるでしょう。何を制限するかに加えて、安心して続けられる利用や、別の支援へのつながりを一緒に考えることが大切です。
大人・企業・行政それぞれの役割
シンポジウムでの提言も踏まえると、安全を本人の注意力だけに委ねず、それぞれの立場から取り組む必要があります。

こうした役割分担によって、子ども・若者が情報を得る機会と、安全の両方を支えることができます。
グルーミングの相談先・相談窓口
子ども本人が使える窓口
保護者に話す前でも、利用できる相談先を探せます。こども家庭庁のこども相談ガイドでは、悩みや希望する方法に応じて支援先を探せます。ガイドの利用に名前や連絡先の登録は不要です。紹介先の匿名相談の可否や受付時間などは、それぞれの案内を確認してください。
性暴力に関する相談先としては、ワンストップ支援センター「#8891」、警察の性犯罪被害相談電話「#8103」があります。電話で話しにくい場合は、内閣府が案内するSNS相談「Cure time」も選択肢です。内閣府の相談先一覧
親に知られることが不安な場合は、相談の最初にその心配を伝え、どのような場合に誰と情報を共有するのかを確認できます。
保護者・教員が使える窓口

18歳未満のときに撮影された自分の性的な画像・動画には、拡散防止や削除を支援する無料のサービス「Take It Down」があります。運営するのは、米国の全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)です。現在18歳以上でも、撮影時に18歳未満だった画像等は対象になります。端末内の画像から識別用のデータを作成して登録する仕組みで、画像自体を送信せず、匿名で利用できます。ただし、対応しているサービスの公開領域や暗号化されていない領域などに限られ、インターネット全体からの削除を保証するものではありません。利用のために、画像を新たにダウンロードしたり、他の人から転送してもらったりしないでください。手元に画像がない場合や、すでに投稿されている場合も、掲載先への通報や専門窓口への相談など、別の対応を考えられます。
*Take It Down利用の際の留意事項:・日本語による十分なサポートが常に受けられるとは限らない・緊急時は日本国内の警察(110番)や最寄りの警察署への相談が優先・子どもの被害の場合は、警察庁のサイバー犯罪相談窓口や児童相談所も併用した方がよい
よくある質問
大人同士の関係でも「グルーミング」と呼ぶことがありますか。
呼ぶ場合があります。ただし、年齢差や職場での上下関係だけで判断するものではありません。信頼や依存を利用して相手を性的に搾取する構造が問題であり、本記事で紹介した刑法182条の対象範囲とは区別が必要です。
加害者は見知らぬ人が多いのでしょうか。
見知らぬ人とは限りません。身近な関係でも起こり得ます。「知っている相手か」だけで判断せず、子どもの気持ちが尊重されているか、相談が妨げられていないかに目を向ける必要があります。
被害にあったかもしれないとき、やりとりは残した方がよいですか。
安全にできる範囲で、メッセージや相手のアカウント、日時などを残すと相談に役立ちます。記録のために相手との会話を続ける必要はありません。性的な画像を新たに取得・転送せず、扱いは相談先に確認してください。記録がなくても相談できます。
学校や習い事の指導者を疑うようで気が引けます。
関わり方のルールや相談経路を確かめることは、子どもが安心して活動するための取り組みです。具体的な心配があるときも、一人で相手の意図を見極めようとせず、組織の相談担当者や外部窓口に相談できます。
まとめ
グルーミングは、信頼や立場を性的な加害のために利用し、拒否や相談を難しくしていく行為や過程です。SNSだけでなく、学校や家庭など身近な関係でも起こり得ます。相手を信頼したことや断れなかったことは、被害を受けた人の責任ではありません。
必要なのは、子どもがうまく見抜けるかに安全を委ねないことです。被害を受けた側の責任にせず、まずは大人や組織が関わり方のルールを整えることが大切です。相談できる場所を増やしていき、そして、もしも相談を受けたときには、責めずに支える。その積み重ねが、助けを求めやすい環境につながります。
プラン・インターナショナルの「SRHR for JAPAN」では、子ども・若者の声を踏まえながら、「生命(いのち)の安全教育」の推進に取り組んでいます。自分と相手の体や気持ちを尊重する学びと、安心して相談できる環境づくりを併せて進めていきます。
監修 齋藤 梓
上智大学卒業後、上智大学大学院博士前期課程、同後期課程に進学、臨床心理学を学ぶ。臨床心理士として精神科クリニックや感染症科(HIVカウンセラー)、小中学校(スクールカウンセラー)に勤務する一方で、東京医科歯科大学難治疾患研究所にて技術補佐員としてPTSDに対するProlonged exposure therapyの治療効果研究に携わる。2008年からは、民間被害者支援団体にて殺人や性暴力被害等の犯罪被害者、遺族の精神的ケア、およびトラウマ焦点化認知行動療法に取り組んできた。目白大学人間学部心理カウンセリング学科助教、目白大学心理学部心理カウンセリング学科准教授を経て、現在、上智大学総合人間科学部心理学科准教授。教育と研究に携わりながら、被害者支援の実践も継続している。臨床心理士、公認心理師、博士(心理学)。

