世田谷区立武蔵丘小学校で「生命(いのち)の安全教育」を実施―小学4・5年生が体の変化や「同意」「境界線」についての学びを深める
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(Release)2026年10月9日
2026年9月24日、25日の2日間、プラン・インターナショナルは、世田谷区立武蔵丘小学校で小学4年生、5年生を対象とした「生命(いのち)の安全教育」の授業を実施しました。

4年生の授業のテーマは、これから迎える思春期の心と体の変化。5年生では、自分と相手を大切にするための「境界線」や「同意」について学びました。いずれの授業でも大切にしたのは、知識を一方的に伝えることではなく、子どもたち自身が「自分だったらどう感じるだろう」「相手はどう思っているだろう」と考えることです。
講師からの問いかけに元気よく答えたり、友達と話し合ったり、ワークに取り組んだり。子どもたちは身近な出来事と結びつけながら、自分の心と体、そして相手の気持ちを尊重することについて考えました。
小学4年生―思春期にはどんな「体の変化」が起こる

9月24日に行った小学4年生の授業では、「大人に近づく心と体の変化」をテーマに、思春期について学びました。
小学4年生ごろからは、自分や周りの友達の体の変化が少しずつ気になり始める時期でもあります。授業ではまず、思春期になると身長や体つきが変わるだけでなく、月経や射精など、さまざまな変化が起こることを学びました。
一方で、こうした変化が始まる時期や順番は一人ひとり異なります。授業でも、思春期の変化には個人差があり、早い・遅いを比べるものではないことを伝えました。月経について説明する場面でも、始まる時期には幅があり、「成長は競争ではない」というメッセージが伝えられました。
子どもたちは、ワークシートや動画を使いながら、どのような変化が起こるのかを一つずつ確認していきました。

講師が質問すると、すぐに手を挙げたり声を出したりする子どももいれば、少し考えてから答える子どももいます。これまで学んだ内容を確認したり、知っていることを積極的に発言したりと、教室ではさまざまな反応が見られました。
授業では、自分の体に起こる変化だけでなく、自分とは異なる体について知ることも大切にしています。たとえば、月経に伴ってお腹や頭が痛くなることがあると学んだ際には、そうした知識があれば、友達の体調が悪いときに「もしかしたらこういう理由があるのかもしれない」と想像し、相手に優しく接することにもつながることが伝えられました。
体について正しい知識を得ることは、自分自身の変化に戸惑わないためだけではありません。人によって体も成長の仕方も違うことを知り、誰かの変化をからかったり、比べたりせず、お互いを尊重することも、思春期を学ぶ大切な意味の一つです。
「自分の体は自分のもの」―プライベートゾーンについて考える

4年生の授業の後半では、「自分の体は自分にとって大切なもの」ということから、プライベートゾーンについても学びました。命がどのように始まり、赤ちゃんから子ども、そして大人に 成長していくのかを確認したうえで、講師から子どもたちに伝えられたのは、「一人ひとりの体は、とても大切なもの」ということです。
自分の体について、「嫌だ」「触られたくない」と感じることは大切にしてよい。そして、同じように相手の体も尊重する。これは、翌日の5年生の授業で扱う「境界線」や「同意」にもつながっていく考え方です。
小学5年生―「自分も相手も大切にする」ための境界線
9月25日の小学5年生の授業では、「安心・安全な人との関わり方」をテーマに、自分と相手の気持ちや体を尊重することについて考えました。

最初に取り上げたのは「子どもの権利」です。子どもには、安心して生きること、学ぶこと、遊ぶこと、休むこと、暴力などから守られること、そして自分の意見を言い、それを聞いてもらうことなど、大切な権利があります。
そのうえで子どもたちは、「自分は体のどこを触られると嫌だろう」と考えるワークに取り組みました。ここで大切なのは、「みんな同じ答え」になる必要はないということです。頭を触られても平気な人もいれば、嫌だと感じる人もいます。家族や仲の良い友達でも、そのときの気分や状況によって感じ方が違う場合があります。
授業では、こうした自分と相手との間にある「ここまでは大丈夫」「ここからは嫌」という目には見えない線を、「境界線」として考えました。境界線は人によって違うからこそ、自分の気持ちだけで判断するのではなく、相手がどう感じているのかを確かめる必要があります。
ハグや遊びも「相手はどう感じている?」と考える

子どもたちは、イラストやさまざまな場面を見ながら、「これは安心・安全な関わり方だろうか」と考えました。
ハグや手をつなぐことをうれしいと感じる人もいれば、苦手な人もいます。友達同士で遊んでいる場面でも、全員が楽しんでいる場合もあれば、誰か一人が「本当はやめてほしい」と思っている可能性もあります。
授業中には、場面を見た子どもたちからさまざまな意見が飛び出しました。同じ場面を見ても、「大丈夫だと思う」「ちょっと嫌かもしれない」と判断が分かれることもあります。だからこそ大事なのが、表情や様子だけで相手の気持ちを決めつけず、「どう思っているのか」を確認することです。
日常のなかでは、仲が良い友達だから、いつも一緒に遊んでいるからと、「これくらいなら大丈夫」と考えてしまうことがあります。しかし、仲が良いことと、何をしてもよいことは同じではありません。
こうした身近な場面から考えることで、「境界線」は特別な状況だけの話ではなく、日々の友人関係のなかにもあることを子どもたちは学んでいきました。
仲が良くても、嫌なときは「嫌」と言っていい
5年生の授業で、もう一つ重要なキーワードとなったのが「同意」です。授業では、相手の気持ちは見ただけでは分からないからこそ、何かをするときには確認することが大切だと伝えました。仲が良い相手であっても、ふれあいを嫌だと感じることや、急にされると驚くことがあること、そのときには相手に「嫌だ」「やめて」などと伝えてよいことを確認しました。
その他にもその場から離れる、信頼できる大人に相談する、などの方法があることも学びました。そして、「嫌と言わなかった」ことを「同意した」と考えるのではなく、お互いの意思を確認することが必要です。

自分の体についてどうするのかを決めるのは自分自身です。同時に、相手にも同じ権利があります。「自分の気持ちを大切にすること」と「相手の気持ちを大切にすること」は、どちらか一方ではなく、両方が必要なのです。
子どもたちの日常につながる「生命(いのち)の安全教育」を

今回、4年生と5年生では異なるテーマを扱いましたが、授業を通して一貫して伝えていることがあります。それは、「自分も相手も大切な存在である」ということです。
思春期の体の変化を正しく知ること。自分の体を大切にすること。嫌だと感じたときにはその気持ちを大切にしてよいこと。そして、自分とは違う相手の気持ちや境界線も尊重すること。こうした学びは、将来のためだけのものではありません。
休み時間の遊びや友達とのやりとり、ふざけ合いやスキンシップなど、子どもたちが今まさに経験している日常の人間関係にもつながっています。今回の授業でも、子どもたちは講師からの問いに積極的に答え、友達とは違う考え方にも触れながら、「自分だったらどうするだろう」と考えていました。
プラン・インターナショナルは、子どもたちが心や体について必要な知識を得て、自分自身を大切にするとともに、相手の気持ちや権利も尊重できるよう、今後も学校や自治体、専門家と連携しながら「生命(いのち)の安全教育」の取り組みを進めていきます。

