「生命(いのち)の安全教育」の制度的位置づけ強化に向けた提言を提出

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(Release)2026年8月10日

SRHR for JAPANでは、すべての子どもが、自分と他者の心と体を大切にし、安全な人間関係を築くために必要な学びを得られる環境づくりを進めています。

その一環として、プラン・インターナショナルジョイセフSpringの3団体は、2026年3月、関係団体の賛同を得て、国際人口問題議員懇談会(JPFP)に対し、「令和8年度学習指導要領改訂に向けた『生命(いのち)の安全教育』の制度的位置づけ強化に関する提言」を取りまとめました。

こども家庭庁参与辻由起子氏(左)とプラン・インターナショナル アドボカシーグループリーダー長島

なぜ、生命(いのち)の安全教育の制度化が必要なのか

文部科学省は2021年度から「生命(いのち)の安全教育」のモデル事業を開始し、2023年度から全国展開を進めています。

教材や指導の手引きも整備され、性的同意を含め、子どもを性暴力の加害者・被害者・傍観者にしないための教育が進められてきました。しかし、学校現場での実施状況には大きなばらつきがあります。

文部科学省の調査によると、全国3万8,171校のうち、性犯罪・性暴力防止に関する教育を実施している学校は1万7,278校(45.3%)でした。そのうち、文部科学省の「生命(いのち)の安全教育」教材を活用している学校は5,663校にとどまっています。

さらに、実施状況には地域差もあります。提言では、その背景として、教員の専門性への不安、指導時間の確保、保護者への説明、教材・指導計画の不足などを課題として挙げています。

子どもがどこに住んでいるかによって、心と体を守るために必要な学びを受けられる機会に差が生じることがないよう、学校や教員個人の努力だけに委ねるのではなく、教育制度として実施を支える仕組みが必要です。 

提言で求めていること

今回の提言では、生命(いのち)の安全教育を、単に危険を回避するための知識ではなく、子ども一人ひとりの尊厳と心身の安全を守り、自他を尊重する力を育む基盤的な教育として捉えています。

そのうえで、主に次の4点を提言しています。

  1. 学習指導要領への明確な位置づけと全国的な実施の確保
    保健体育、道徳、家庭科、特別活動、総合的な学習の時間など既存の教育課程を活用しながら、生命(いのち)の安全教育を体系的・計画的に実施すること。
  2. 性的同意、対等な関係性、性の多様性、デジタル課題への体系的な対応
    性的同意や相互尊重に加え、SNSや画像送信に伴うリスク、オンライン上での行為など、子どもを取り巻く環境の変化に応じた内容を発達段階に沿って扱うこと。
  3. 外部専門家の活用による専門性の補完と地域格差の是正
    性的同意やオンライン被害など専門性を必要とするテーマについて、学校と専門家が連携して学べる仕組みを整えること。
  4. 教員研修体制の強化と安全な学校環境の確保
    教員が性暴力の構造や境界線、適切な関係性などについて理解を深め、子どもが安心して学べる学校環境をつくること。

この提言については、4月14日に開催されたJPFP「生命(いのち)の安全教育PT」においてもNGOからの要望として報告し、国会議員や関係者との意見交換を行いました。

次期学習指導要領の議論を引き続き注視

現在、中央教育審議会では次期学習指導要領に向けた検討が進められています(参考「教育課程企画特別部会審議まとめに向けた検討」 https://www.mext.go.jp/content/20260804-mxt_kyoiku01-000051425-5.pdf

SRHR for JAPANでは、今後の議論を注視しながら、生命(いのち)の安全教育が一部の学校だけの取組ではなく、すべての子どもが発達段階に応じて、自分と他者を尊重し、自分の意思を表明し、安全な人間関係を築くために必要なことを学べる教育として定着していくことが重要だと考えています。

学習指導要領の改訂においても、こうした学びが教育課程の中でどのように位置づけられていくのかを継続してフォローし、必要な政策提言を行っていきます。

 提言書全文:
「令和8年度学習指導要領改訂に向けた『生命(いのち)の安全教育』の制度的位置づけ強化に関する提言」

 

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