【開催報告】南三陸町の全公立小学校6年生・中学校3年生を対象に「心と体を守る教育」を実施
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(Release)2026年6月30日
2026年6月15日から17日にかけて、プラン・インターナショナルは、宮城県南三陸町教育委員会の協力のもと、町内すべての公立小学校6年生および中学校3年生を対象に、「心と体を守る教育」のパイロット授業を実施しました。
地域ぐるみで取り組む、より包括的な生命(いのち)の安全教育モデルの実証を開始
本事業は、SRHR for JAPANキャンペーンが推進する「より包括的な生命(いのち)の安全教育」のモデル形成を目的とした取組みです。
近年、SNSやインターネットの普及に伴い、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。一方で、学校現場では専門的な知識を持つ講師や教材が十分ではなく、地域によって学びの機会にも差があります。
今回の取組みでは、外部専門家のNPO法人ピルコンによる授業に加え、保護者への事前説明、事前・事後アンケート、第三者評価を組み合わせながら、継続的に実施可能な教育モデルの構築を目指しています。
授業には、小学校6年生82人、中学校3年生68人の計150人が参加しました。

「あなたはどっち?」から始まる授業
授業の冒頭では、「朝型?夜型?」「友達といる時は話す方?聞く方?」「友達にメッセージを送って返事がなかったら気になる?」「写真を撮るときは先に聞いてほしい?」といった問いかけが行われました。
子どもたちは教室の左右に移動しながら、自分の考えを表現します。
「返事が来ないと気になる」という子もいれば、「あまり気にならない」という子もいます。「写真は先に聞いてほしい」という子もいれば、「気にしない」という子もいます。
講師は、「どちらが正しいということではなく、人によって感じ方や考え方は違う」と伝えながら授業を進めました。子どもたちは、自分と友達の感じ方が違うことを体験しながら、お互いを尊重することについて考えました。
「自分の体は自分のもの」
小学校では、「自分の体は自分のもの」というメッセージを中心に授業が行われました。
動画教材やワークを通じて、自分の体やプライベートゾーンを大切にすること、相手の体も同じように大切にすることを学びます。
また、「嫌なことをされたらどうする?」という問いに対して、
・「いやだ」と伝える
・その場から離れる
・信頼できる大人に相談する
という行動を確認しました。
授業では、「自分を守る」だけでなく、「相手を傷つけないこと」も大切な学びとして扱われました。自分が嫌なことは相手にもせず、相手が「嫌だ」と言ったらやめる。そうした日常の人間関係にもつながる内容が盛り込まれました。

中学生は「境界線」と「同意」を考える
中学校では、人との関係性をテーマにした授業が行われました。
講師は、「人と人との間には目には見えない境界線(バウンダリー)がある」と説明します。
近づかれると心地よい距離感は人によって異なり、その日の気分によっても変わります。だからこそ、自分の気持ちだけではなく、相手の気持ちも確認することが大切だと伝えました。
さらに、「相手もそう思っているはず」という思い込みではなく、相手の気持ちを確認することが『同意』であることを学びました。
授業では、デートDVやSNS上でのトラブル、性的画像の送信要求など、子どもたちにとって身近なテーマも取り上げられました。被害に遭った時だけでなく、友人から相談を受けた時にどう行動するかについても考える機会となりました。

子どもたちの声
授業中のワークでは、子どもたちからさまざまな意見が聞かれました。
「写真を撮るときは、先に聞いてほしい」
「友達から頼まれると、嫌と言いにくいこともある」
「人によって感じ方が違うことが分かった」
「自分は大丈夫だと思っていたけれど、SNSも気をつけなければいけないと思った」
授業を通じて見えてきたのは、子どもたちがすでに日常の中で人との距離感やSNSでのコミュニケーションについて悩みや迷いを抱えているということです。
生命(いのち)の安全教育は、単に知識を伝えるだけではなく、自分の気持ちを言葉にすること、相手の気持ちを想像すること、困った時に相談してよいことを学ぶ機会でもあります。
※事前・事後アンケート結果については、現在分析を進めており、後日あらためて公表する予定です。
保護者への説明と効果測定
今回の取組みでは、授業だけでなく保護者の理解を得ることにも配慮しました。
授業実施前には各学校を通じて保護者向けの案内文を配布し、授業の目的や内容、講師体制について事前に共有しました。また、希望する保護者には授業を見学できる機会も設けました。
さらに、本事業では児童・生徒への事前・事後アンケートを実施し、授業による知識や意識の変化を測定します。今後は第三者評価も実施し、教育的効果や保護者の受け止め方などを検証していく予定です。

地域から全国へ
SRHR for JAPANでは、生命(いのち)の安全教育の実施率向上だけでなく、「どのような教育を、誰が、どのように届けるのか」という質の向上と地域格差の解消を重視しています。
今回の南三陸町での実践は、学校、教育委員会、保護者、外部専門家が連携しながら取り組むモデル事業として位置づけられます。
今後はアンケート結果や第三者評価の結果を分析し、地域で継続的に実施できる教育モデルとして整理するとともに、他の自治体への展開や政策提言にも活かしていく予定です。
子どもたちが自分自身と他者を尊重し、安心して未来を選択できる社会の実現に向けて、SRHR for JAPANは引き続き取り組みを進めていきます。

